ハーレーダビッドソンの「ダイナ(Dyna)」とは、1991年から2017年まで販売されていたシリーズです。
ダイナという名前は特定の1車種を指すものではなく、ダイナフレームを採用したモデルの総称です。FXDスーパーグライド、FXDLローライダー、FXDWGワイドグライド、FXDXスーパーグライドスポーツなど、さまざまなモデルが存在します。
ダイナの大きな特徴は、エンジンをラバーマウントしたダイナフレームと、左右2本のリアサスペンションです。
ハーレーらしい鼓動感を楽しめる一方、スポーツスターより大きなビッグツインエンジンを搭載しながら、ツーリングモデルやソフテイルとは違った軽快な走りを楽しめるのが魅力です。
私が所有している2000年式FXDXも、このダイナファミリーの一台です。
この記事では、ダイナがどのように誕生し、なぜ2017年に廃止されたのかまで、FXシリーズやFXRとの関係も含めて歴史を振り返ります。
そもそもハーレーのダイナとは
ダイナの歴史を振り返る前に、少し分かりにくい「ダイナ」という名前について整理しておきます。
ハーレーにはスポーツスター、ソフテイル、ツーリングなどのファミリーがありますが、ダイナもその一つです。
ダイナにはFXD、FXDL、FXDB、FXDWG、FXDXなど多くのモデルが存在します。
見た目や装備は違いますが、基本となるダイナフレームを共有しているのが特徴です。
特に分かりやすい特徴が、ビッグツインエンジンをラバーマウントしていることと、リアに2本のショックアブソーバーを持つことです。
エンジンの振動を完全に車体へ伝えるリジッドマウントとは異なり、ラバーマウントによって走行中の不快な振動を抑えながら、アイドリングではエンジンが揺れるハーレーらしい鼓動感を楽しめます。
この構成はダイナ以前のFXRにも採用されていました。
そのためダイナの歴史を理解するには、1971年に登場したFXシリーズ、そして1980年代のFXRまで少し遡る必要があります。
ダイナの歴史を年表で見る
| 年 | 主な出来事 |
|---|---|
| 1971年 | FX Super Glide登場 |
| 1982年 | FXR Super Glide II登場 |
| 1991年 | FXDB Sturgis登場。ダイナの歴史が始まる |
| 1992年 | FXDB Daytona、FXDC Dyna Glide Custom登場 |
| 1995年 | FXD Dyna Super Glide登場 |
| 1999年 | FXDX Dyna Super Glide Sport、Twin Cam 88登場 |
| 2000年代前半 | TC88搭載ダイナが充実 |
| 2006年 | ダイナシャーシ刷新・6速化 |
| 2007年 | Twin Cam 96へ |
| 2012年 | FLD Switchback登場 |
| 2017年 | ダイナシリーズ終了 |
| 2018年モデル | ダイナの各モデルが新型ソフテイルへ統合 |
ここから、それぞれの時代を詳しく見ていきます。
FXシリーズのはじまり

1971年にFX Super Glideが発表されました。これがFXシリーズのはじまりです。
当時のチーフスタイリングディレクターであるウィリー・G・ダビッドソンは、クラシカルなFLH Electra Glideのフレームに、XLH Sportsterのテレスコピックフォークを組み合わせ、よりスポーティーなビッグツインを作り上げました。
当時から、大柄なFL系のパーツをスポーツスター系のパーツに置き換えて軽快なスタイルにするカスタムが行われていました。
Super Glideは、それをメーカー自身が製品として形にしたようなモデルともいえます。
この「ビッグツインだけれどスポーティー」という考え方が、後のFXR、そしてダイナへとつながっていきます。
FXRからダイナへ

1982年にFXR Super Glide IIが登場します。
FXRではエンジンがラバーマウントされ、トランスミッションも5速となりました。
1982年後半にはFXRS Low Glide、1983年にはFXRT Sport Glideが登場します。
低い車高とスタイルを重視するモデルだけでなく、車高を確保してスポーツ走行を意識したモデルが登場したのもこの時代です。
そして、このFXRの後継として登場するのがダイナです。
1991年、ダイナの歴史が始まる

1991年にFXDB Sturgisが登場します。
これがダイナファミリーの始まりです。
翌1992年にはFXDB DaytonaとFXDC Dyna Glide Customが登場し、その後FXRからダイナへと主力が移っていきます。
ダイナフレームでもFXRと同じようにビッグツインエンジンをラバーマウントしています。
一方でフレーム構造は新しくなり、FXRとは違った乗り味を持つシリーズとなりました。
1995年、FXD Dyna Super Glide登場

1995年に、FXD Dyna Super Glideが発表され、以前は32度だったレーキ角が、28度に変更されました。フロントフォークが立ち気味に変更され、ハンドリング性能を重視するようになりました。
Super Glideという名前からも分かるように、1971年から続くスポーティーなビッグツインの流れを受け継いだモデルです。
ダイナにはその後、ローライダー、ワイドグライド、ストリートボブなど多くのモデルが登場します。
その中でも、走行性能を特に重視したモデルとして登場したのがFXDXです。
1999年、FXDXとTwin Cam 88が登場
1999年にはFXDX Dyna Super Glide Sportが登場します。
FXDXはサスペンションやブレーキを強化し、ダイナの中でも特にスポーツ走行を意識したモデルです。
後にはフェアリングとサドルバッグを備えたFXDX-T Dyna Super Glide T-Sportも登場します。
そして1999年は、Twin Cam 88(TC88)がダイナに採用された重要な年でもあります。
私が所有しているFXDXもこの世代で、2000年式のTC88キャブ車です。
個人的には、TC88とこの時代のダイナフレームの組み合わせは、ダイナらしさが最も分かりやすい世代だと思っています。
FXDXの年式による違いについては別の記事で詳しくまとめています。

2006年、ダイナが大きく変わる
2006年にはダイナのシャーシが大きく変更されます。
トランスミッションは6速となり、ダイナは次の世代へ移行します。
FXDXはこの変更を待たず2005年モデルを最後に姿を消しました。
その後エンジンはTC96、さらにTC103へと大排気量化していきます。
一方、ダイナそのもののキャラクターも少しずつ変化していきました。
後期ダイナとモデルの多様化

後期のダイナにはStreet BobやFat Bobなど、それまでとは違った個性的なモデルも登場します。
2012年には、ダイナフレームを使用しながらウインドシールドやサドルバッグを装備したFLD Switchbackも登場しました。
初期のSuper Glideのようなシンプルで軽快なモデルから、ダイナというファミリーの中でもさまざまな方向性のモデルが作られるようになっていきます。
2017年、ダイナの歴史が終わる

ダイナシリーズは2017年モデルを最後に終了します。
2018年モデルからは、それまでダイナとして販売されていたStreet Bob、Low Rider、Fat Bobなどが新設計のソフテイルファミリーへ統合されました。
長年ダイナを特徴づけてきた、ラバーマウントされたビッグツインとツインショックという構成もここで姿を消します。
1991年から続いたダイナの歴史は、およそ四半世紀で幕を閉じることになりました。
ダイナの魅力は今でも残っている
ダイナは生産終了から時間が経っていますが、今でも独特の魅力があります。
特に私が面白いと思うのは、ビッグツインらしい存在感と、スポーティーなFXシリーズの性格が同居していることです。
中でもFXDXはその方向性をかなり極端にしたモデルです。
現在のハーレーと比較すれば当然古いバイクですが、空冷ビッグツイン、ラバーマウント、ツインショックという構成だからこそ楽しめる乗り味があります。
実際に所有して乗っていると、スペックだけでは分からない面白さを感じます。
一方で古いダイナ、特にTC88世代にはカムチェーンテンショナーやダイナウォブルなど、購入前に知っておきたいポイントもあります。
これらについては別の記事にまとめています。
まとめ
ハーレーのダイナとは、1991年から2017年まで続いたファミリーです。
そのルーツをたどると1971年のFX Super Glide、さらに1980年代のFXRへとつながっています。
「ビッグツインをもっとスポーティーに楽しむ」というFXシリーズの考え方を受け継ぎながら、ダイナ独自のラバーマウントフレームによる鼓動感と乗り味を持っているのが大きな魅力です。
1999年にはTC88とともにFXDXが登場し、その後ダイナはさまざまなモデルへと展開していきました。
そして2017年モデルを最後にダイナは終了し、2018年から新しいソフテイルへ統合されます。
私は2000年式FXDXに乗っていますので、このブログではダイナの歴史だけでなく、実際に所有して分かったことやメンテナンス、カスタムについても紹介していきます。


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