ここでは1991年から2017年のダイナの歴史について振り返ります。ダイナはフレームの名前にすぎませんので、ダイナのはじまりの前に、FXシリーズのはじまりから説明していきます。
FXシリーズのはじまり

1971年にFX Super Glideが発表されました。これがFXシリーズのはじまりです。
当時のチーフスタイリングディレクターである、ウィリー・G・ダビッドソンは、クラシカルなFLH Electra Glideのフレームに、XLH Sportsterのテレスコピックフォークを採用して近代的なデザインのバイクを作り上げました。
FLHとXLHを結合してFXという名称が生まれました。Factory Experimentalとも呼ばれています。
当時からもっさりしていたFLHのパーツをXLHのパーツに置き換えてスッキリさせるカスタムが流行っていたこともあって、これをメーカーが初めからやったモデルとも言えます。
FXRシリーズのはじまり

1982年にFXR Super Glide IIが発表されます。FXのリジットマウントされたエンジンに4速トランスミッションから、ラバーマウントで5速トランスミッションになります。
1982年後半にFXRS Low Glideが、1983年にFXRT Sport Glideがリリースされています。車高を落として見た目重視のシリーズと、車高が高くよりスポーツ走行を考えた走り重視のシリーズに分かれたのがこの時期になります。
ダイナのはじまり

1991年に、FXDB Sturgisが発表されます。1500台程の限定生産モデルでしたが、これが最初の公式モデルになります。
ダイナグライドフレームは、ハーレー初のコンピューター設計されたフレームで、高い剛性と3つから2つに減ったラバーマウント数によって鼓動感がダントツに高まりました。
1992年に、FXDB DaytonaとFXDC Dyna Glide Customが発表され、1993年からFXRシリーズは廃止されていきます。
レーキ角が28度に

1995年に、FXD Dyna Super Glideが発表され、以前は32度だったレーキ角が、28度に変更されました。フロントフォークが立ち気味に変更され、ハンドリング性能を重視するようになりました。
1999年には、FXDX Dyna Super Glide Sportが発表されます。ブレーキとサスペンションが強化され、よりスポーツ走行を重視したモデルになります。後にバリエーションモデルのFXDX-T Dyna Super Glide T Sportもリリースされます。このモデルには着脱式のサドルバックとフェアリングが特徴です。
1999年はツインカムエンジンのデビューの年でもあります。
6速トランスミッション
2006年に新設計のダイナシャーシに置き換わります。この年からFXDXは販売停止されてしまいます。
トランスミッションが6速になり、キャブレターモデルがなくなりインジェクションのみとなるのがこの年になります。そして2007年にはTC96が導入されます。
FXDXやFXDX-Tは既に販売を停止していましたが、Sons of Anarchyのようなドラマが生まれるほどダイナの人気が高く、ダイナグライドフレームとTC88の組み合わせが、ダイナの黄金時代だったと言えます。
ダイナ末期

2011年、ツインカムエンジンの排気量が上がっていき、TC103が導入されたころからダイナがおかしくなってきました。フレームにエンジンが収まるにしても、剛性が高く軽量だったフレームの利点が損なわれ、もはやスポーツ走行には不向きになってきました。
どちらかというとツアラー色が濃くなります。2012年にはダイナフレームなんだけどFLシリーズのFLD Swichbackとか、どっちを向いているのか分からないモデルも誕生します。明らかな末期症状といえるでしょう。
ダイナ終焉

2017年にダイナシリーズは廃止され、ソフテールシリーズに吸収される形となりました。2017年にリリースされたミルウォーキーエイトがとどめをさしたと言えます。
ダイナ末期には既に存在意義は失われ、既存パーツを組み合わせてツアラーバイクを設計したらフレームがダイナだったというだけで、もはやダイナシリーズとは言えない状態でした。
スポーツスターのForty-Eightの人気が高まり、新たなダイナが生まれるでもなく、ダイナの歴史は静かに幕を閉じます。
まとめ
ダイナの歴史を少し前のFXシリーズが始まるところからまとめてみました。ダイナはFXシリーズの流れを汲み、近代的で軽快な走りが特徴のシリーズでした。
FXDXが販売されていた頃のTC88時代のダイナが完成系で、人気も高かったのですが、エンジンが大きく重くなるにつれてその魅力は失われていき、最後はフェードアウトするかのようにその幕を閉じました。
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